【製品レビュー】モータライズド・ノブ搭載のデュアル5バンド・アナログ・マスタリングEQ

SPL PQ2050

by 小泉由香(オレンジ)
  • 【製品レビュー】モータライズド・ノブ搭載のデュアル5バンド・アナログ・マスタリングEQをはてなブックマークに追加
  • この記事をYahoo! ブックマークに追加
  • この記事をGoogle ブックマークに追加
  • この記事をクリップ!
  • この記事についてtwitterでつぶやく

ここ数年間、現行CDと次世代オーディオ・メディアの狭間で開発を続けてきているメーカーは、デジタル機材に関してはハイサンプリング/ハイビットで対応してきたわけだが、アナログ機器に関してはデジタルのようなスペック戦争に振り回されることなく、従来通りに開発がなされてきた。しかし、このアナログ・マスタリング・イコライザーPQ2050は、次世代オーディオをしっかり視野に入れた、ユニークなEQである。

 

独自開発のSUPRAオペアンプによる
150dBものダイナミック・レンジ

機材の“見た目”は意外と重要である(これ、ホント)。本機を見たとき、ちょっと“デジタルチック”なのと“ドイツらしいゴツイ感”にわくわくしたのだが、ある意味本当にゴツかった。重さが18kgもあるのだ。ちなみに電源は別ユニットで、“何入ってんのよ、これ”状態である(笑)。でも本当に入ってました、いろいろな機能が。

本機はデュアル5バンド・パラメトリックEQで、その基本部分はSPLが独自に開発した動作電圧124VのSUPRAオペアンプを使用することで、トータル150dBのダイナミック・レンジと+34dBのヘッド・ルームを実現している。これによりフィルターがオーバーロードすることなく、音質補正を行うことができる。各バンドの下には小さいスイッチが2つあり、1つはON/OFFスイッチになっている。そのバンドを使わないときは完全に本線から外し、余計な回路を通さない徹底ぶりだ。もう1つのスイッチはQの選択スイッチ。何とこのEQは固定Q(Constant)と可変Q(Proportional)の両方を積んでいるのである。音質補正の際には固定Qを使い、よりアクティブに使用したいときは可変Qを使うという幅のある作業ができる。周波数帯域は10Hz〜28kHzで、またブースト/カットは−11.5dB〜+11.5dBの可変式。各バンドはLF(10Hz〜235Hz)、LMF(35Hz〜720Hz)、MF(330Hz〜7.1kHz)、HMF(670Hz〜16kHz)、HF(1.2kHz〜28kHz)をカバーしていて、1オクターブずつオーバーラップさせている。

デジタル制御のスイッチ類による
トータル・リコールが可能

それから次世代オーディオの特徴であるサラウンドに対応した機能として、LINKモードがある。パネルの中央下にそのスイッチが付いており、ステレオ間でのリンクはもちろん、最大4台まで本機を接続してのマスター・リンクとしても機能するようにできている。コンソール内でグループを組まないといけないような作業が、アウトボード単体でできるように考えられているのだ! しかも各ツマミはモーターで制御されているので、Lchを動かすとRchもリンクして動くし(初期設定ではLchにリンクする。もちろん変更可能)、スイッチ類はデジタル制御されているので、リコールすることが可能。大体マスタリング・エンジニアは“俺トータル・リコール”(笑)でメモを取りながら作業をするが、サラウンド音源のときなどはいつもの何倍もメモしなければならない。そんな大仕事に関しても、ちゃ〜んとフォローしているのだ! セットアップ・メモリーは0〜999までの1,000個×24バンク(A〜Z)を記録可能。呼び出すときは矢印キーを使ってバンク・ナンバーを表示させ、リコール・ボタンを押すとウィ〜ンというモーター音と共に、あっと言う間にツマミ位置が復元される。見た目の“デジタルチック”には、こういう秘密があったのである。

さて、肝心の音色や使い勝手についてだが、マニュアル無しでも操作で迷うことはあまり無かった。細かい内容が知りたくてマニュアルを読む程度である。モーター制御なので“これかな?”と思って触っていると、スイッチやツマミが動いてくれるので分かりやすい。欲を言うと、周波数やQ幅が細かくセッティングできるのはマスタリングという仕事柄大変うれしいのだが、表示が若干見にくい。目をちょっと細めてしまう。まあ音を聴きながら作業をする際には問題は無いのだが。

音色については本機に通した際の色付けも無いし、EQをかけた感じはアナログとデジタルのちょうど中間のような、滑らかなかかり具合である。あまり聴いたことのない、個性ある音だと感じた。

ちなみに本機にはPCM、DSDインターフェースをオプションとして付けることができる。次世代フォーマットで使用できるように初めから設計されているのだ。

本機は同社“ハイゲイン・シリーズ”の最初の製品という位置付けで、今後マイクプリやコンプレッサーというラインナップがお目見えするらしい。リリースの順番としては最終段階のマスタリング機材から始まって、録音機材へとさかのぼることになるわけだが、これからの展開がますます楽しみなシリーズである。

製品名:PQ2050

デジマートで探す(購入)ブランド名:SPL
価格:オープン・プライス
問い合わせ:エレクトリ   TEL: 03-3530-6181

SPECIFICATIONS

■周波数特性/10Hz〜100kHz
■ゲイン/34dB
■高調波歪率/0.2%@−30dBu、0.05%@−20dBu、0.01%@0dBu、0.002%@+10dBu、0.0005%@+30dBu
■S/N/−108dBu(A-rated)、−97dBu(CCIR468-3)
■外形寸法/482(W)×182(H)×430(D)mm
■重量/18.25kg(本体のみ)

関連記事
【製品レビュー】イギリス老舗メーカーの4ch仕様のPA用コンプレッサー/リミッター
【製品レビュー】使いやすいサイド・チェインとアクセント機能を装備したノイズ・ゲート
【製品レビュー】1人ハモからロボット声まで作れるボーカル専用コンパクト・エフェクター
【製品レビュー】Pro ToolsシステムのオーディオI/Oにもなるギター・アンプ・ヘッド
【製品レビュー】コスト・パフォーマンス抜群のクラスA真空管チャンネル・ストリップ
PR

【製品レビュー】モータライズド・ノブ搭載のデュアル5バンド・アナログ・マスタリングEQ

PQ2050

SPL
オープン・プライス

Feature

  • レコーダー+ムービーカメラのモニター募集中!!
  • ミュージシャンのエネルギー革命!
  • 本誌特集に連動した音声ファイルを公開
  • 話題のフィジカル・コントローラーをNagie氏が動画でレビュー!
  • D.O.IとHIROSHI WATANABEの快適ビート・メイク&ライブ・パフォーマンス

PR広告

Rittor-Musicの雑誌・書籍

リットーミュージックのWEBサービス